kanossaのブログ

歴史小説や時代小説を綴ることを中心としたブログです。
簡単に読めるものを書いていきます。最初は、戦国時代
に主君大内義隆を殺害し、厳島の合戦で毛利元就に敗れ
散っていった陶晴賢(五郎→陶隆房→陶晴賢)を主人公
とした「TAKAFUSA」を書きすすめます。

TAKAFUSA その14 陶晴賢 爺の教え(一)

まえがき

今は陶晴賢子供時代のお話となっています。兄を失い、また愛犬タキを失うという悲しみも体験しながらも、父・母に厳しくも温かく育まれ・・・また、又二郎・百乃介・与吉などの仲間にもめぐまれ、浜の網元の娘お栄にほのかなあこがれを抱く五郎、泣いたり笑ったり危機に陥ったり・・・多感な少年時代をすごしています。また五郎は爺との絆を深めていきます。今回は、爺から甲冑をつけての剣術の稽古を受けます。


その14












のどかな春の陽ざしの下、



朝から城の庭で又二郎と剣術の稽古を行っていた。
 
「五郎様、もうおわりですかな」
「なにをー!まだまだ」
「では、まいられよ」
五郎は又二郎と打ちあいを行っていたのだが・・・
(すげえ、又二郎のやつ、どんどんうまくなってやがる)
と驚くとともにあせりと悔しさを感じた。
五郎も自分なりには相当修錬を積んできたつもりではあったのに・・・。
 
又二郎は犬に襲われた一件以来・・・
塚原卜伝のようになりたいと思い、家中一の遣い手佐藤清兵衛のもとへも通ったりして、
それこそ火のようになって稽古に取りくんでいたのであった。
その着物の下は・・・全身痣だらけになるほどに。
 
そこへちょうど五郎の父である陶興房があらわれた。
「おー・・・おもしろいものを使っておるな。それはなんじゃ」
 
「これは爺がくれたもので・・・
竹を割ったものを束にして牛の革で巻いたものです」
と流れる汗を拭きながら五郎が答えた。
 
「なるほど、考えたものじゃ・・・これなら、
打ち込みがあたっても、そこまで大きな
ことにはならぬな」
 
「なんでも爺が卜伝様のところにおられた時に、若い剣術遣いから
こういうものはどうかという話を聞いて・・・おもしろいということで
こっちへ戻ってから作ってみたそうです。
爺は・・・これに『仮刀(かりがたな)』と名付けたと・・・」
 
「ちょっとわしにも貸してみよ」
興房はその竹の剣を手に取り、
「これはよいわ。・・・ほれ、又二郎よ。相手をしよう。かかってまいれ」
 
又二郎がにこりとして
「本当ですか・・・ありがとうございます」
二人は約十五分ほど打ちあいを行った。
 
さすがに幾多の戦場をかけめぐってきた興房。
又二郎は軽くあしらわれ手も足も出ない。
興房に肩、横っ腹、手首など次々打ち込まれるのだが・・・
一瞬痛みに顔をしかめるも、怯むことなく挑んでいくのである。
 
「おおーー!」と叫びながら激しく、打ち込んでくる又二郎の剣には
激しい気迫がこもっていた。
 
途中、興房をひやりとさせたものもあり・・・
(ほほう、たいしたものじゃわ)
と興房は内心感心した。
 
「又二郎。また腕をあげたな!さらに精進を重ねよ」
「はっ」と答える又二郎の瞳は光り輝いていた。
 
興房はそのまま去っていった。
相手をしてもらえなかった五郎は、
(父からお前はまだまだ・・・・)
と言われた気がして、内心穏やかではなかった。
 
 
 
その昼・・・
 
五郎は、又二郎、百乃介、与吉らと爺の住む小さな屋敷を訪ねた。
爺は最初、城に住んでおったのだが・・・しばらく後に城から少し離れたところに
屋敷を建ててもらい、そこに住むようになっていた。
また、お兼ねという近所の婆さんが通いで、掃除や炊事を行っていた。
 
爺は、屋敷の横に畑をひらき野菜を植えたり、薬草や木を植えたりもしていた。
 
庭で槍の稽古をおこなっていた爺が、
「よう参られた。五郎殿には山の中で時折、兎や猪を食わしてもうたからの・・・
今日は、そのお返しじゃ・・・今日はお兼さんにやすみをやったので・・・
わしが馳走してしんぜよう」
 
見ると、庭に鍋が炊ける用意がすでにしてあった。
「じゃが、その前に腹を減らすために、少々躰を動かそうぞ」
「その縁側に、ぼろの甲冑が四つほどあるでの・・・みな、それをつけよ」
 
「甲冑をつけるのですか・・・」と百乃介がきょとんとして言うと、
 
「そうよ・・・、そう遠くないうちに、みな戦場に行くことになるでの」
そう言いながら、爺は屋敷入っていった。
 
四人が苦労しながら・・・着けようと悪戦苦闘していると・・・
爺が、あっと言う間に甲冑姿で出てきた。
 
「早う、つけなされ!つける速さも強さですぞ。で、今日は剣術じゃ。
仮刀をもってこっちに来られよ」
 
四人が何とか、身に着けおわると・・・
「実際の戦(いくさ)では、槍・薙刀などの長物(ながもの)を使うことが多いが・・・
場合によっては刀で戦わなければいけないことも・・・
まっ、言うより体で覚える方が早い・・どっからでもかかってまいられい。」
 



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